8月8日
環境ジャーナリスト 青木泰氏からのメッセージ
「疑惑の広域化」本当に広域化しなければならないがれきがあったのか?
その点を北九州市の市民検討委員会の広域化調査チームで追いかけてきています。
4月19日のTVのモーニングバードで宮城県のがれき(震災廃棄物)は、広域化しなければならないものは無いことを、県の担当課長が話しました。その当時発表されていたがれきの総量が2250万トン、その2割の約400万トンが広域化の対象量であり、そのうち9割の350万トンが、宮城県のがれきでした。宮城県の発表でがれきの広域化問題は、実質終了したのです。
その点を切っ掛けに、被災県と環境省でがれきの全体量の見直しが行われ、宮城県はこれまで環境省が発表していたがれき量の1/4も下方修正する量に訂正発表しました。
岩手県もこれに続くものと見ていたところ、岩手県は、約1割増やし、広域化処理はまだまだ必要であると、宣言したのでした。
確かにこの時点で岩手県も、宮城県同様にがれきの総量が、1/4下方修正されたとなっていれば、がれきの広域化問題は、収束されていたと思います。
北九州市の市民検討委員会では、がれきの全体量の見直しが行われるなかで、被災地における広域化の必要性についての実態の調査に入りました。
そして驚いたことに北九州市に持ってくる予定の石巻市のがれきは、宮城県が全量鹿島JVに委託していた事実を掴みました。これは次の点3点で驚愕する事実でした。
そして驚いたことに北九州市に持ってくる予定の石巻市のがれきは、宮城県が全量鹿島JVに委託していた事実を掴みました。これは次の点3点で驚愕する事実でした。
②
無いがれきをあるとして2重にカウントしていたという偽証行為。
③
一度契約しているがれきを2重契約し、それらいずれも国の交付金で支払わせるという詐欺行為
宮城県は、被災市町村が処理しなければならないがれきの内、市町村が処理したものを除き県が受託したものを、県内4つのブロックに分け、いずれも複数のゼネコンなどでつくるJV(特定建設事業共同事業体)に業務委託していました。
石巻市と女川町、東松島市でつくる石巻ブロックの宮城県の受託量は、685万4千トン。その全量を昨年9月16日には、鹿島JVに業務委託し、契約まで結んでいたのです。
石巻市のがれきを引き受けるという北九州市のみならず、女川町のがれきを引き受ける東京都まで、引き受ける必要はなかったことになります。
一方絆キャンペーンの裏で、こうしたおぞましい2重契約に走っていた宮城県に対し、広域化処理の必要性を唱える被災県は、宮城県から岩手県に移りつつあります。
このような状況の中でもがれきの受け入れを継続し、新たに進めようというのは、秋田県や富山県、埼玉県、静岡県、大阪府などですが、いずれも岩手県ルートのがれきを処理するというものです。
しかしこの岩手県についても、調べて見ると「疑惑」が次々に出てきます。
まず宮城県が1/4下方修正しているのに、なぜ岩手県が増えたのか?全く大きな疑問が積み残されたままです。
また野田村の場合、埼玉県、青森県、秋田県などへの広域化の要請が全体で18万トン。ところが、埼玉県が調べた所1.8万トンしかなかったということが報道されています。がれきや廃棄物は、発生地の市町村にとって、お金をかけて処理しなければならない厄介物です。ところが今回の場合、国の交付金が、95%~100%つくことになった段階で、処理権限を奪い合うがれき事業となったのです。
そうするとがれきは、発生量が多く、また広域化する量が多いほど「お金」が動くことになります。過大な発生量の発表、広域化必要量、いずれも点検なしに受け入れれば、受け入れた自治体も、その「犯罪」の責任を問われることになります。
そこで今北九州市から始まり、宮城県、秋田県、そして今後がれきを受け入れるという静岡県や富山県、大阪市に対し、これらの事実を通知し、間違っても誤った広域化に乗ることがないように警告状を発して行きます。
皆さんもこの趣旨をご理解いただき、ご協力いただければ幸いです。
2012年8月8日