7月9日 北九州市 北橋市長に
警告書を提出いたしました。
① 石巻のがれきは、民間企業に委託し県内処理が始まっている。
② 宮城県の債務不履行への荷担
③ がれきの二重カウントによる国庫金詐取
④ 宮城県の損害賠償責任
⑤ 北九州市の搬出分に対する損害賠償金額
⑧ 国に対する詐取
以上の内容を警告を受けてまでも広域処理を進めるならば、民事・刑事責任追及を行うと明記いたしました。
〒803-8501 北九州市小倉北区城内1番1号
北九州市北市長 北橋健治殿 平成24年7月9日
北九州市 市民検討会 広域化調査チーム
斎藤利幸法律事務所
上記代理人弁護士 斎 藤 利 幸
警 告 書
冠省 貴殿は6月20日、震災がれきの受け入れを発表した。
翌日の6月21日には、ひなん者お話の会は、「北九州市が石巻市から受け入れる予定の震災がれきの有無の確認と受入れ中止を求める声明文」を貴殿にお届けしたが、今日まで返事をいただけていない。
受入・焼却をするに当たって重大な法律違反が生じ、かつ、通知人らに精神的苦痛を生じさせている貴殿の責任は重大であり、以下警告する。
① 石巻のがれきは、民間企業に委託し県内処理が始まっている。
宮城県では、被災市町から受託した分を4つのブロックに区分けし、震災がれきの処理を行っている。石巻市のがれきは、石巻ブロック(石巻市、女川町、東松島市)で処理することにし、宮城県が受託した分は、鹿島JVによって落札され、中間処理と最終処分を目的に、昨年9月16日に1923億6000万円で業務委託契約している。鹿島JVに処理を依頼しているがれきの総量は、685.4万トンでその内訳は、石巻市(581万トン)東松山市(83、5万トン)女川町(20、9万トン)である。
なお、その後震災がれきの見直しにより、石巻ブロックのがれきは、312万トンに半減している。
② 宮城県の債務不履行への荷担
宮城県には、このがれきを北九州市に処分を委ねる権限はない。
したがって、宮城県と鹿島JVとの契約上は、石巻市のがれきの処理権限は鹿島JVに移っていて、宮城県には存在しない。
それにもかかわらず、北九州市が宮城県と再契約等の合意により、同震災がれきの受入を強行することは、宮城県の鹿島JVに対する震災がれき引渡債務を侵害する違法行為となる。
③ がれきの二重カウントによる国庫金詐取
また震災がれきの処理費は、国の交付金で支払われることとなっており、鹿島JVへの支払は最終的に国庫金から支払われることになる。
この場合、鹿島JVの管理下にある震災がれきを、そのまま鹿島JVの処理に委ねれば何ら新たな支払いは発生しない。しかし北九州に移動させるだけで、北九州市等に新たな支払を発生させることになる。
この様な新たな支払は本来不要な支払を、震災がれきの移動により、国に新たな支払原因と勘違いさせて国庫金を詐取する詐欺という、極めて違法性の強い行為である。
しかも予定していたがれきが半減し、宮城県は鹿島JVとの間で、契約金の減額交渉に臨まなくてはならず、一度鹿島JVに委託したがれきを、他の自治体に回すという余裕も、合理的根拠もない。
④ 宮城県の損害賠償責任
宮城県が、鹿島JVに全量処理委託したにもかかわらず、北九州市へのがれきの搬出は、鹿島JVに対して債務不履行となり、損害賠償責任を発生させるものとなる。鹿島JVに対する宮城県の損害賠償責任の額は定かではないが、1923億円の4割程度の利益率としても、約770億円前後という巨額になる。またトン当たり15万円以上といわれるコストを考えたとき、その損失に対する損害賠償責任も発生する。
⑤ 北九州市の搬出分に対する損害賠償金額
北九州市に対して搬出しようとしているのは7万9000トンとされている。よってこの分の損害賠償金額は、以上によると約8億8750万円以上となる。
⑥ 最終的には知事が負担すべき
村井知事が、行政権限によって鹿島JVに対して指示し北九州市にがれきを搬出したとなると、村井知事が本来不要な支出(損害賠償責任)を宮城県にしょうじさせたことになり、日本国内最強の仙台市民オンブズマンの責任追及を受け、全額賠償させられることは必至である。
⑦ 貴殿の責任
貴殿には、宮城県とがれき搬出のための合意をするにあたり、宮城県に民法上の法令違反はもちろん、自治法上等の法令順守が行われているかを、確認し契約合意をする責任がある。
ここで改めて
ⅰ) 宮城県は、すでに石巻ブロックのがれきについて、鹿島JVに全量処理委託していたこと。
ⅱ)したがって宮城県には、北九州に持ってくる石巻市のがれきは、全量鹿島JVに委ねられていること。
ⅲ)しかも、石巻ブロックのがれきは、半減していること。
ⅳ)こうした中で宮城県が、鹿島JVとの契約に違反し、処理費がかさむ北九州に運ぶという合理的な根拠はない。
以上について本書面により通知する。この契約違反、および法令違反(地方自治法第2条13項)の事実を明確に知ったのであるから、このまま宮城県とのがれき搬出を推し進めるのであれば、故意による宮城県(知事)との、鹿島JVに対する債務不履行責任を強制した(少なくとも宮城県知事と共謀の上である)こと、自治法上の法令違反を行ったことになる。
⑧ 国に対する詐取
以上に加え、貴殿と村井知事は、本来鹿島JVに処理委託しているにもかかわらず、広域処理と称して不要ながれき搬出・焼却処分をしようとしているが、これは、全く必要のないことを行って国の支払を得ようとするものであり、詐取行為である。もし、このまま広域処理と称して事を進めるのであれば、我々は前述した民事責任追及の他、この刑事責任追及も行う事を、あらかじめ警告する。
以 上